米国弁護士に聞く!


米国弁護士資格をより身近に感じていただくため、実務の第一線でご活躍の方々に資格の活かし方などをざっくばらんに語っていただく連載企画です。

山中弁護士は、金融と企業法務の分野を長く手掛けて来られました。米国法を学ぶことは国際法務案件を扱う上で役立つことはもちろん、大国米国のライセンスを取ることで得られる対外的信用にも大きなメリットがあると強調されました。

(インタビュアー:アビタス米国弁護士プログラム担当)

山中 眞人弁護士 | 略歴

早稲田大法学部卒、ペンシルベニア大学ロースクールLL.M.課程修了。1998年第二東京弁護士会登録、2011年ニューヨーク州弁護士登録。日系大手法律事務所に勤務後、米国ロースクールに留学。2007年5月、現在の外資系大手法律事務所日本オフィスに入所した。マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズニューヨーク本社、三井住友銀行ニューヨーク支店への出向経験を持つ。証券規制、投資信託、デリバティブなどの分野での論文・書籍を多数執筆するほか、金融機関や法律事務所向けの講義も精力的に行う。


1. Bar Exam用の英語力は、日本にいても養える


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インタビュアー

米国弁護士資格を取得したきっかけをお教えください。

山中弁護士

大学在学中に司法試験に合格し、渉外系の国内法律事務所に入って企業法務を担当していました。さらに仕事の幅を広げたいと思い、2008年、米国ロースクールに留学しました。

クロスボーダーの案件を多く扱っていたので、米国法を学ぶ必要性を感じていました。いったん仕事を中断するわけですから、大きな覚悟でした。 Bar Examは主たる目的というより必然です。

LL.M.でニューヨーク州Bar Examの必須単位を取りましたので、行ったからには受験しよう、という流れです。 大きな目的は世界中の優秀な人と知り合うことでした。

留学というと、半ば遊びのようなイメージを抱く方がいるかもしれませんが、それは誤解です。さまざまな国から集まった留学生の真剣度が違いました。ブラジル、インド、中国、タイ、フィリピン、ロシアなどあらゆるところから学生が集まり、真剣に学ぶ場でした。

インタビュアー

Bar Examの学習はどのようにされましたか。

ロースクールを卒業して約2カ月後にBar Examがあります。受験予備校の教材と過去問で勉強しました。日本人受験者がノウハウをまとめたノートも参考にしましたね。

インタビュアー

Bar Examの手応えはいかがでしたか。

山中弁護士

山中弁護士 結果的に3回受験しました。1回目はロースクール卒業の2カ月後というタイミングなので、そこに向けて集中して勉強しなければいけませんでしたが、私はそこに一歩足りませんでした。

残り2回は働きながら受験せねばなりませんでした。勉強のために確保できる時間が激減し、苦労しました。日本人の場合、圧倒的な得点で合格する例はとても少ないように思います。

私の場合、合格した3回目でも受かった手ごたえはなかったですよ。

インタビュアー

Bar Examの択一型試験(MBE)、エッセイ型試験(Essay)、パフォーマンス・テスト(PT)の中で、最も重要だと感じたものはどれですか。

山中弁護士 どれも重要です。日本人はEssayが苦手といわれていますが、実は、短時間で力を付けることが可能です。私もEssayに時間を割きました。

私はPTが苦手でした。ネイティブと比べて、書ける量が劣りますからしょうがないです。PTの配点が低いので、MBEとEssayで点数をかせぐイメージです。

インタビュアー

英語で苦労しましたか。

山中弁護士 留学前の英語力は大学受験レベルでした。特にスピーキングは全くと言って良いほどできませんでした。そのため、留学したらとにかくしゃべることを意識しました。TOEFLは願書を出すために必須であり受験しました。

ボキャブラリーこそが大事だと気付いたのはTOEFL用の勉強を始めてから数か月経ってからでした。知らない単語は聞き取れません。LL.M.課程のクラスメートと一緒に食事することが苦痛でなくなったとき、自分の英語力が上達したなとようやく実感したものです。

ロースクールの授業の英語は難しかったです。教授は分かりやすく話してくれますし、LL.M.のクラスメートは英語が母国語ではないので比較的に理解しやすいですがが、米国人は相当なスピードで話すので、J.D.の生徒の質問はなかなか聞き取れませんでした。卒業する時点でもJ.D.の生徒の質問は半分くらいしか分からなかったと思います。

また、速く書く練習もしました。反射的に動くぐらいに。日本人の場合、それくらいでないとBar Examには太刀打ちできません。試験用の文章をたたきこむ感じです。ある意味文章さえ書ければいいといえるので、Bar Exam用の英語力は、日本にいても養えると思います。

スピーキングの実力がなくても合格した日本人を知っていますから。しかし、Bar Exam用の英語力は何が何でも鍛えなければ合格できません。優秀な人材でも、きちんと対策をしなければ合格できないのがBar Examです。



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